LS塾第3期第4回において 平田倫子氏の講義が行われました。


【開催情報等】

1.日時:2019年10月16日(水)18:30~

2.講義:「ベルギーの豊かなライフスタイル」

3.講師:平田倫子氏(TISTOU株式会社 代表取締役社長)


4.講義の内容


 

学業卒業後に花屋をこころざし渡欧、ドイツや、世界一と言われるベルギーのフラワーショップなどで5年間修行する。その後、ベルギーで感じた花を取り巻く生活シーンの豊かさと日本の花の扱いに差異を感じ、フラワーベースを輸入・販売する代理店TISTOU株式会社を1998年に設立。ベルギーでは、花屋が花だけでなくフラワーベースを始め花のある空間全体を提案する事ができた。花屋で働く人のステイタスも高い。一方当時日本の花屋は花を販売するのみで、それらの多くはバケツに陳列されていた。美しいフラワーベースがあれば、日本の花のあるシーンも変えられると考えた。

様々なスタイルがあるヨーロッパのインテリアの中でも、フランス、イタリアのハイソサエティな住宅は、受け継いできたクラシックなスタイルが多い。北欧はシンプルでナチュラルな空間に大胆で鮮やかなデザインのものをプラスする。
ベルギーの隣国オランダは、エキセントリックでポップなデザインが得意。

対するベルギーは質感、量感、素材を重視。古き良きものを大事にし、使いやすいものよりも良いものを長く使う傾向にある。また、「ベルギー人はお腹にレンガを持って生まれてくる」ということわざがある程、家創りにこだわりがある。若いうちから家を持ち、長い時間をかけて少しずつ改築する。僅かな時間でも客人を招き、家や新しく入手したもの等披露し会話を楽しむ。その時間がいかに大切で豊かなことかを理解している。故に空間に対する意識も高い。

雨の日が多いベルギーでは、曇天であってもできるだけ屋外でくつろぎ自然を堪能するので、アウトドア家具が優れている。自然を慈しみ、サスティナブルで環境に配慮した住宅は住民税が軽減、また地熱発電の普及率は80%の程にもなる。

ベルギーの人は思い入れのある住空間と、そこで過ごす暮らしを大切にしている。
人が集って楽しく過ごすことが時間の価値を上げ、人生を豊かにしてくれる。そのための環境を整えるのがインテリアの重要な役割と考える。

このようなベルギーのライフスタイルが本当の豊かさであると考えるならば、インテリアのある空間を提案する者は、その空間を人々が使用することで時間をいかに彩ることができるかを、またインテリア商材を提案する者は、商材を作る人々の想いや哲学を伝えていかなければならない。

モノを通じ、人と人がその「わくわく感」を共有する場を提供してこそ、その人のライフスタイルをより濃密にさせることができると考えている。

 


5.受講生からの感想


モノを売るときに、どう売るかということばかりが先行するとブランドがぼやけてしまう。ブランドやデザイナーが優れていることだけでなく、なぜ私達がこのモノを選び勧めることに喜びを感じるか、そういった一歩入り込んだコミュニケーションからモノの付加価値が生まれると感じました。


6.塾長からの感想


ベルギーを中心にヨーロッパのデザイナーやアッパーの生活空間を見つめ紹介してきた講師の圧倒的な経験量が、塾生にとっても未知のライフスタイルを想像できる良き講義でした。何より、塾生の誰もがベルギーに憧れてしまう講師の語り口は、何が人を惹きつけるのか再考するチャンスとなりました。


 

2019年10月16日