LS塾第2期第2回において 戸倉蓉子氏の講義が行われました。


【開催情報等】

1.日程:2018年7月18日(水)20:15~

2.議題:「ライフスタイルと健康」

3.講師:戸倉蓉子(株式会社ドムスデザイン取締役)


4.講義の内容


 

平均寿命と健康寿命に約10年もの差がある日本で、これから高齢者に求められる環境とはどの様なものか、病院や高齢者施設のデザインを通して考える。

病院建築家のルーツであるナイチンゲールは、戦争時に病院での患者の死亡率を激減させた功績を持つ。彼女の覚書に書かれた言葉、それは「回復に必要なもの、それは環境である」という言葉だ。また、建築とデザインの勉強をしたイタリアでは、いくつになっても自分らしく暮らす高齢者住宅の入居者の姿から「環境で人を元気にする」という自身のミッションを形成するヒントを得た。

新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静けさに加えて、「感動」がこれからの環境作りの大きなポイントとなる。デザインは価値を作る仕事であり、その力で感動・生きがいを作り出す事ができる。例えば、楽しく過ごせる病院作りをする事で患者は自然と歩く機会が増える。運動量の増えた患者が夜に安眠する事は職員の幸福にも繋がり、魅力的なデザインの病院では患者家族の滞在時間も長くなるのだ。

入居者が施設に合わせる日本に対して、入居者に合わせる海外の高齢者施設には、最期までその人らしく生活をして欲しいという願いが込められている。健康で長生きをする環境作りが、これからの日本にも求められる。



5.受講生からの感想


画像で紹介された実例に大変説得力があった。日々、デザインの持つ力に感嘆させられる事が多いが、病院や高齢者施設での事例に触れる事は少なかったため、新鮮な気持ちで拝聴させていただいた。


6.塾長からの感想


何よりも戸倉さん御自身がデザインする事を楽しんでいる姿が印象的だった。女性ならではの柔らかさ、強さで、既成概念を打破して来られたと想像をしたのだが、講義での語り口にも第一に物事を楽しむ雰囲気が溢れて感じられた。



2018年07月18日